ヘロデ大王は、本来終身制の大祭司職を、自分に忠実な祭司を指名し解任する道具として用いた。その死後は子孫の王たちやローマ総督も同じことを行った。アンナスはいったん総督により大祭司職を退かされたが、その後も娘婿カイアファの背後にあって、エルサレム神殿を牛耳り、主イエスの尋問も行った。
【追記】
ヘロデ大王が自分の意向次第の大祭司職の「首のすげ替え」を始めてしまったがために、福音書や使徒言行録の時代、現職の大祭司以外に元職の大祭司経験者が〔しばしば複数〕存在し、「祭司長たち」などと訳される。主イエスの御受難の際の大祭司はカイアファだが、元職のアンナスが裏で牛耳っていた。
ヘロデ大王は王妃の弟に当たる大祭司を謀殺した後、自分に忠実な祭司たちに大祭司の権力と財産を与え籠絡した。福音書の時代にユダヤの有力者の間で物事を買収で解決する風潮が蔓延した端緒だった。ユダは銀貨三十枚で買収され、御復活の主と婦人たちと天使とを目撃した番兵たちも金銭で口止めされた。
(注)別エントリー「ダニエル書7章:地上に興る第四の王国」も参照のこと。
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主イエスはヨハネ8章15節で「あなたたちは肉に従って裁く」と仰せになった。ヨハネ福音書は人間的な事柄を「肉」、神に由来する事柄を「霊」と呼び対比する。ヘロデ王家は自分たちに同調する祭司へ大祭司の権力と富を与え籠絡していた。福音書における神殿の有力者たちの堕落はそれが原因であった。
(注)別エントリー「試論:『肉と霊』の対比を140文字以内で」も参照のこと。
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(注)別エントリー「試論:ガラテヤ5章の『肉と霊』を140文字以内で」も参照のこと。
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(注)別エントリー「試論:聖書と『肉』を140文字以内で」も参照のこと。
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