試論:ネヘミヤ8章の「書記官」を140文字以内で

福音書の本文で律法学者を表すギリシア語と、古代のギリシア語旧約聖書で書記官を表す語は同じで、ネヘミヤ6章で当時の預言者たち皆が周辺異民族に買収される不祥事が発覚後、改革を担った祭司エズラは、預言者としてではなく書記官の立場で民を導き、預言者たちが姿を消し律法学者の時代に移行した。

【追記】

バビロン捕囚から帰還したユダヤ人が、周辺異民族の妨害でエルサレム復興に苦心していた紀元前五世紀、総督ネヘミヤの調査により当時の「預言者」たちが周辺異民族に買収されて偽の「預言」をしていた不祥事が発覚した(ネヘミヤ6章)。以後、洗礼者の登場まで預言者が公然と活動することはなかった。

捕囚から帰還後ゼカリヤはイスラエルから真の預言者が途絶えると預言した(13章)。数十年後マラキはメシア以前に先駆者が現れると預言したが、さらに数十年後(ネヘミヤ6章)イスラエルの「預言者」が敵に買収されたと発覚してから、実に四百年以上もの間、人々の前に、真の預言者は現れなかった。

ゼカリヤ13章は「預言者」が偽物ばかりとなるため神や人々が「預言者」を排斥する時代を預言した。ゼカリヤ以降はマラキ一人だけで真の預言者が途絶え、その後、ネヘミヤ6章は買収された偽預言者たちの存在を記した。マラキから洗礼者ヨハネまでの実に約五百年間、真の預言者が不在の時代は続いた。

捕囚からの帰還後、預言者ゼカリヤは、イスラエルの「預言者」が偽預言者として神と民から排斥される時代を預言した(ゼカリヤ13章)。数十年後、総督ネヘミヤ時代(ネヘミヤ6章)、敵にイスラエルの「預言者」が買収され、城壁の完成を妨げるために「預言」していた不祥事が、発覚した(12節)。

福音書の時代のユダヤ人は、自分たちの間で真の預言者が四百年以上も活動していないことを強く自覚しており、またそのきっかけとなったのがネヘミヤ6章の買収事件であることも知っていた。もし真の預言者が登場するとしたら、なによりも買収とは無縁な克己心の強い人物であるべきだとよく弁えていた。

中世以降ユダヤ教はハガイ、ゼカリヤ、マラキを最後の預言者とした。その後のエズラ・ネヘミヤ時代にイスラエルが偶像崇拝と最終的に訣別した際、その時代の「預言者」たちが全くそこに貢献しなかったためである。とはいえマラキ書3章は第二のエリヤとなる預言者の到来を預言したはずではなかったか?

(注)別エントリー「試論:『まずエリヤが来るはず』を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/13025

(注)別エントリー「試論:古代ユダヤの『第九の月』を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/12830

(注)別エントリー「試論:ユダヤ教と預言を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/5099