試論:創世記4章8節のタルグムを140文字以内で

創世記4章8節のタルグム(旧約聖書本文に短い注釈を付加したアラム誤訳)は、カインとアベルが野原で口論になったことを記す。神が弟の献げ物だけに目を留められたことを「えこひいき」と誤解した兄は、神の不正を主張して自分を正当化しようとしたが、弟が逐一それに反論したため、兄は弟を殺した。

(注)別エントリー「試論:『悔い改め』とは無縁な人を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/17099

【追記】

創世記4章の「カインとアベル」の箇所について、「神はアベルを『えこひいき』された」と誤解する人がいる。しかし申命記1章17節に見られる通り、「えこひいき」は主なる神が好まれない行為であると考えられ、同じ考え方は箴言24章23節、同28章21節、ヨブ34章19節等にも見受けられる。

(注)別エントリー「試論:『カインの高慢』を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/17085

箴言24章では23節でまず「えこひいき」が否定された後で、30節で「怠け者の畑」「意志の弱い者のぶどう畑」について言及され、それが神の知恵とは対極にある状態を象徴する光景であることが暗示され、また創世記4章のカインが「怠け者」「意志の弱い者」だったであろう蓋然性をも示唆している。

カインはアベルと違って献げ物となる作物を育てる際、手間暇をかけようとせず、ろくに手入れもせず、ただ自然に育ったがままの状態のものを献げた。それでいて神に目を留められなかったことで激怒し、そうなった理由を反省せず弟の意見を参考にしようとせず両親にも相談せず、神に質問すらしなかった。