主イエスが放蕩息子のたとえを教えられた際、当時の人々の一部はルツの姑ナオミを思い浮かべたはずである。ナオミは家族と共にモアブに移住したが、夫も息子たちもモアブで亡くした。飢饉を避けるためとはいえ士師の時代にイスラエルを捨ててモアブに移住するのは、尋常ならざる行動と周囲には映った。
(注)別エントリー「試論:『放蕩息子』『父親』誰?を140文字以内で」も参照のこと。
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【追記】
飢饉を避けるためとはいえ故郷イスラエルを捨てて異邦モアブの地に移住したナオミと彼女の家族の行動は、好ましからざるものとして当時のイスラエル人は受け止めたはずである。全てに希望を失い故郷に帰ったナオミへモアブ人の嫁ルツの信仰が大きな幸福をもたらしたところに、人々は天の配剤を感じた。
モアブの女性ルツは亡き夫の母ナオミに「あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神」と誓い、寄留者としてイスラエルに住んだが何一つ差別を受けなかった。ルツは「あなたたちイスラエル人はそうするけれど、わたしの故郷の流儀は違います」という口答え(減らず口)を、何一つ口にしなかった。
申命記25章5節には、古代イスラエルで家名を存続させる律法として、跡取りを生む前に夫に先立たれた妻と亡き夫の「兄弟」との結婚を義務付ける規定が存在した。ルツは規定に従いボアズと結婚したがボアズはルツの亡夫マフロンとは父も母も異なり、古代の「兄弟」とは親族全般を指す表現だと分かる。
(注)別エントリー「イエスの『兄弟』『姉妹』:同胞か親戚か」も参照のこと。
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ルツ記の主人公であるルツは、最初の夫マフロンとの間に跡取りを産む前に夫に先立たれ、のちに申命記25章の規定に従ってマフロンの「兄弟」ボアズと再婚したが、このボアズは亡夫マフロンとは父も母も異なっていた。マフロンの父はエリメレク、母はナオミで、ボアズの父はサルマ、母はラハブである。
(注)別エントリー「試論:『履物を脱ぐ』を140文字以内で」も参照のこと。
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(注)別エントリー「聖母と聖ヨセフが終生童貞である理由」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/4464