ヤコブ5章16節は「主に癒していただくために罪を告白し合い互いのために祈りなさい。正しい人の祈りには大きな力があり効果をもたらします」と記す。まさに主の養父ヨセフは、マタイ1章19節で「正しい人(義人)」と呼ばれる。人類で唯一、神の御独り子に対し「父」として振舞う程の人物である。
(注)別エントリー「試論:『神の養父』を140文字以内で」も参照のこと。
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【追記】
古代イスラエルの民にとって神なる主は「わたしたちの父」(イザヤ63章16節)だった。民の「永遠の父」である救い主は嬰児として生まれた。本来、神の御独り子に人間が養父とはいえ父として接するのは本末転倒である。しかし夢に現れる主の天使の指示と妻の存在に強められヨセフは任務を全うした。
旧約の民にとって神なる主は「わたしたちの父」(イザヤ63章16節)だが、救い主(8節)がお生まれになり(9章5(6)節)、民の「永遠の父」である方は「みどりご」として来られた。養父とはいえ人間が「父」となるなどヨセフにとって太陽が西から昇るどころではなかったが彼は責務を全うした。
主の天使はヨセフに対し、夢の中に現れて助言を与えたものの、それに従って実際に行動したのはヨセフ自身であった。ただ祈るだけではなく、実際に自分自身が行動する必要がある場合、ヨセフは労を惜しまなかった。ヨセフもマリアも、行動せずに祈り求めることだけをしていたわけでは、決してなかった。
エリヤは王妃イゼベルに命を狙われていると知り、使命を放棄してホレブ山に逃げ、そこで天使に助けられた。ヨセフはヘロデ王がイエスの命を狙っていると知り幼子と幼子の母を連れてエジプトへ逃れた。天使はヨセフの夢に現れるという形で助けたものの第一義的に幼子を守ったのはヨセフとマリアである。
現代において、建前上は幼子や女性の尊重が謳われる。しかし同時に、欲望の追求も無制限に肯定される風潮のため実際には幼子や女性が犠牲になる事件も後を絶たない。神は「義人」ヨセフの姿を通して、「神の義」とは幼子や女性を優先して自分を後回しにすることであると、全ての時代の人々に示された。
カトリックではナザレの聖家族は三人と教える。主の養父ヨセフは終生、息子と妻の望むことだけを行い、三人家族の三番目であるかのように振舞い後世の人々からもそう思われた。世の男性たちが子供たちや女性たちを平然と虐待する、毒々しい時代が来る時、ヨセフの存在は強力な解毒剤として働くだろう。
(注)別エントリー「試論:『永遠の命を得るには?』を140文字以内で」も参照のこと。
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(注)別エントリー「イエスの『兄弟』『姉妹』:同胞か親戚か」も参照のこと。
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主はマタイ6章33節で、まず神の国と神の義(ディカイオシュネー)を求めるよう教えられた。1章19節はヨセフを義人(ディカイオス)と呼ぶが、この語は神の義を体現する人を指す。相手が幼子や女性だからといって馬鹿にした態度を取る男性もいるが、その点、ヨセフに関しては心配する必要がない。
(注)別エントリー「聖家族はどのような雰囲気の中で暮らしていたのか」も参照のこと。
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(注)別エントリー「聖ヨセフ:ディカイオスを旧約聖書で考察」も参照のこと。
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(注)別エントリー「試論:『ディカイオス』聖ヨセフを140文字以内で」も参照のこと。
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ガラテヤ5章では「聖霊の結ぶ実」として神の御独り子の母の内面に関連する《愛、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制》を説く。他方、コロサイ3章では「礼服」(マタイ22章)という比喩を踏まえ、「義人」ヨセフの「義」に関連する《憐れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容、愛》を説く。
(注)別エントリー「試論:『礼服』の意味を140文字以内で」も参照のこと。
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(注)別エントリー「試論:マタイ22章『礼服』を140文字以内で」も参照のこと。
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