ルカ福音書の「ヘロデ」は、マタイ2章に登場するヘロデ大王の息子の、ヘロデ・アンティパスである。マルコ6章によれば彼は洗礼者の教えに耳を傾けてはいたが、多分に好奇心によるもので、悔い改める気などなかった。後に御受難の日の主イエスに会っても、思う通りにならないと直ちに嘲弄し侮辱した。
【追記】
ヘロデ・アンティパスは洗礼者の言葉に喜んで耳を傾けたが単なる好奇心からで、自分の兄弟がお人好しであることにつけ込んで、その妻と親密になり、やがて彼女を奪い取った。根はやはり悪人の彼はイエスの逮捕後、イエスにも興味を抱いたが、興味を失うと洗礼者の時と同様に、イエスを平気で見捨てた。
申命記25章には跡取りを産む前に夫に先立たれた女性に、家名を存続させる目的で亡夫の「兄弟(親族の男性全般)」との再婚を求める規定がある。しかしマタイ14章のヘロデは兄弟フィリポが存命中なのに、その妻と親密になり兄弟から妻を奪い取った。この件で洗礼者ヨハネはヘロデを厳しく叱責した。
(注)別エントリー「試論:『洗礼者ヨハネの死』を140文字以内で」も参照のこと。
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兄弟に妻を奪われたフィリポは、ヘロデ大王の息子たちの中ではへりくだりを知る常識人だった。ただ、癖の強い猛々しい悪人が揃うヘロデ王家の中にあっては、フィリポのこの態度は物足りなくも弱々しい「お人好し」として周囲に映ったようで、そこにつけ込んだ妻と兄弟によって小馬鹿にされてしまった。
主の御降誕から第二神殿の滅亡までエルサレムに七人の「王」が君臨した。ヘロデ大王、アルケラオス、アンティパス、アグリッパ一世、アグリッパ二世がヘロデ王家の人で、ヘロデ王家のユダヤ退去後の独裁者ギスカラのヨハネが六人目に該当し、ローマ帝国に処刑されたシモン・バルギオラが七人目である。
(注)別エントリー「試論;黙示録18章を140文字以内で」も参照のこと。
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(注)別エントリー「試論:黙示録16章を140文字以内で」も参照のこと。
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(注)別エントリー「試論:黙示録の「第八の者」を140文字以内で」も参照のこと。
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