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試論:黙示録の「第八の者」を140文字以内で

使徒言行録でパウロの尋問に同席したヘロデ・アグリッパ二世は主の御降誕から第二神殿滅亡までの間にエルサレムで君臨した七人の王の一人で、ローマへの反乱に与せず神殿滅亡後ユダヤで返り咲いたが神殿が既に存在せず、その監督権を行使できぬ以上、有名無実の存在で、彼の死でヘロデ王家は断絶した。

(注)別エントリー「試論;黙示録17章『十本の角』を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/9155

(注)別エントリー「ダニエル書9章の『七十週』預言」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/22

(注)別エントリー「試論;『実現の日』を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/9074

【追記】

主の御降誕から第二神殿の滅亡までエルサレムに七人の「王」が君臨した。ヘロデ大王、アルケラオス、アンティパス、アグリッパ一世、アグリッパ二世がヘロデ王家の人で、ヘロデ王家のユダヤ退去後の独裁者ギスカラのヨハネが六人目に該当し、ローマ帝国に処刑されたシモン・バルギオラが七人目である。

(注)別エントリー「試論;黙示録18章を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/5394

(注)別エントリー「試論:黙示録16章を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/5086

(注)別エントリー「エルサレムがバビロンと呼ばれた理由」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/1962

(注)別エントリー「あなた方は神と富に仕えることはできない」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/1699

〔注〕別エントリー「七つの山々の都エルサレム」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/854

黙示録はヘロデ・アグリッパ二世をユダヤに返り咲いたとしても「第八の王」とは呼ばない。神殿の監督権を行使する人物こそ「王」の資格があると、当時のユダヤ人は認識していたが、神殿と都とが跡形もなく消滅してしまった後では、ヘロデ・アグリッパ二世は有名無実の存在で、「王」とは見なされない。

黙示録はヘロデ・アグリッパ二世をユダヤに返り咲いたとしても「第八の王」とは呼ばない。いかなる事情であれローマと一緒になって自分の国を滅ぼし、都と神殿を廃墟にしておきながら勝利者の顔をして戻って来た人物に、生き残ったユダヤの人々の心をつかめるはずなどなく、有名無実の王だからである。

紀元七〇年のエルサレム滅亡時にローマ軍へ投降したユダヤ人のうち、使徒言行録22章のパウロのようにローマの市民権を持つ者はローマ法の保護下にあるため留め置かれたが、そうでない者は妻子とともに奴隷とされて売り飛ばされた。こうして、「一人は連れて行かれ、一人は残される」は現実となった。

(注)別エントリー「試論:ルカ19章41節を140文字以内で」も参照のこと。
http://josephology.me/app-def/S-102/wordpress/archives/5814

ルカ17章34節から35節で主は「一人は連れて行かれ、他の一人は残される」と繰り返されたが、では一体どこに「連れて行かれ」るのかを、ルカ21章24節では「捕虜となってあらゆる国に連れて行かれる」と御説明された。これは大昔モーセがレビ記26章33節以下で預言していた話と同じである。

ヘロデ・アグリッパ二世の妹ベルニケ(使徒言行録25章13節)は年下のローマ軍最高司令官で副帝(次期皇帝)ティトゥスの愛人になっていた。ベルニケがローマの皇后になれば誰も兄妹に頭が上がらなくなるが、クレオパトラの再来を恐れたローマ人はティトゥスに愛人と別れるよう進言し、そうなった。

もしも仮にベルニケがローマの皇后になり、夫の皇帝ティトゥスにエルサレム神殿の再建の許可を願い出たならば、皇帝がそれを認めたかも知れずベルニケと兄がユダヤの人心を取り戻せた可能性も皆無ではなかった。だが歴史はそうは動かずローマ人はベルニケをティトゥスから遠ざけヘロデ王家は断絶した。